ハーフッドとはぐれたよそ人はトムボンバディルと出会います。
トムボンバディルは古森に住む、不思議な力を秘めた存在。指輪物語原作ではフロド達が旅立った直後にトムボンバディルに救われるシーンがありますが、映画では尺の都合でトムボンバディルの存在自体が丸々カット。
それを改めてドラマ版で登場させたという感じがします。ちなみにトムボンバディルの正体は種族も含め不明。トールキン教授も名言されていません。
星のことを若いと言っているのでトムボンバディルが第1紀以前から中つ国にいることは確実。
星々の女王と呼ばれるヴァラールのエルベレスがエルフが目覚めるのに備えて天空に新しい星々と星座を作りました。
新しい星々は、ヴァルダの泉に溜められたテルペリオンの銀の雫から作られました。
カルニル、ルイニル、ネーナル、ルンバール、アルカリンクウェ、エレンミーレがそれで、アルダの黎明に彼女が作った古い星々よりも明るい光を持っていました。
さらにエルベレスは古い星々を使って星座を作った。それはウィルワリン、テルメンディル、ソロヌーメ、アナルリーマ、そして最後の戦いを予告するメネルマカルと、メルコールへの挑戦の印であるヴァラキルカです。
エルベレスがこの大仕事を成し遂げた時、中つ国のクイヴィエーネンのほとりでエルフが誕生しました。
つまりドラマ版でのトムボンバディルはエルフが生まれるよりさらに昔から中つ国にいたという設定になります。
さらに「川や木よりも先にいた。暗闇が恐れをもたらさなかった時を覚えている」という発言から地上にヴァラールのヤヴァンナが考案した植物と動物が生まれ始めていた「アルダの春」と呼ばれる時代より先にいたことがわかります。
アルダの春は二つの木の時代よりさらに前、二つの灯火(イルルインとオルマル)が世界を照らしていた灯火の時代での出来事ですからトムボンバディルはマイア以上の存在として設定されているのが確実ですね。
「トムじいさんが蜂蜜を振る舞ったイスタリはお主が最初じゃ無い。ずっと昔他にいた。闇の魔法使い」という発言からリューンの闇の魔法使いと呼ばれている人物はよそ人より先にきたイスタリであることが判明しました。
よそ人がガンダルフで闇の魔法使いと呼ばれているイスタリが原作の設定では青の魔法使いとして名前だけ出てきたアラタールかパルランドなのでしょうか。
青の魔法使いについては東へ向かった後に行方不明というだけでほとんど何もわかっていません。
「終わらざりし物語」に「かれらがどんな成果を上げたのかはわからないが、かれらも失敗した。おそらくは、サウロンの没落の後まで生き残った秘教や『魔法』の開祖となったのだろう」という記述があるので、その設定を踏襲させているのかもしれません。
エレギオンを目指すエルロンドやガラドリエルの舞台は塚山丘陵(トゥルンゴルサド)で悪霊である塚人に襲われます。指輪物語の時代の地理で言うと古森とブリー郷の間にある丘陵です。
指輪物語の原作ではフロド達が塚人に襲われてトムボンバディルに助けられているので、トムボンバディルのシーンの後にこのシーンを持ってきているのは明らかに意図したものでしょう。
この地には、第一紀にエダインの祖先によって塚が築かれました。
その後第三紀1409年の戦いによって国土を逐われたカルドランのドゥネダインは、この地に逃れてアングマールへの抵抗を続けましたが、1636年頃の悪疫でカルドランのドゥネダインは死に絶え、以来無人となった塚山には悪霊である塚人が棲みつくようになりました。
原作での塚人は第三紀のアングマールとの戦いで死んだアルセダインとカルドランのドゥネダインの成れの果て、またはアングマールとルダウアからきた悪霊と考えられており、時代背景としては第二紀が舞台のドラマ版とは時代がズレていますがドラマ版で設定が改編されて使われているのでしょう。
「一緒に埋葬された剣だけが霊を眠りに戻せる」というエルロンドの発言で出てくる剣は塚山出土の剣のことでしょうね。
原作ではフロドら4人のホビットにトムボンバディルから与えられた剣で、メリーがアングマールの魔王に突き立てた剣もこれです。
映画ではトムボンバディルや塚山丘陵のエピソードが丸々カットされたため塚山出土の剣についても触れられませんでしたのでドラマ版で設定を回収してきたということでしょう。
ちなみに原作の設定では「北方王国のドゥネダインの手によるもので、ヌーメノールの技術で鍛えられた鋭利な刃を持ち、モルドールの滅びを願う呪文が周りに刻まれている」という剣なので本来はドラマ版より後の世に作られた剣になります。
ハーフットの二人はストゥア族の村へ。ハーフット、ストゥアはいずれもホビットの氏族の一つ。
ストゥア族はがっしりとして肩幅が広く、大きな手足を持つ、顎鬚を生やすことがある、平地や川辺を好み、一般に水を嫌うホビットには珍しく、船に乗ったり泳いだりする習慣がある、人間をあまり恐れない、といったような特徴があります。
指輪物語の人物で言うとブランディバック家をはじめとした沢地の国の住人(およびバック郷の住人)は、舟遊びの習慣や顎鬚を生やすことなどから、ストゥア族の血を色濃く受け継いでいました。
よそ人とトムボンバディルのシーンを合わせてリューンでは善の魔法使いと悪の魔法使いの戦いが描かれることになりそうですね。
